終わりのないおとぎ話

時間を止めることができたら、と夢見たことはありませんか? 

この夢を体験できる町を知っていると言ったら、貴方はどうしますか?

 

チェスキー・クルムロフを一度でも訪れたことのある人なら誰でも、この町の路地を歩いていると、時々過去にタイムスリップしたような錯覚に陥ったことがあると断言することでしょう。クルムロフは、現在まで中世とルネッサンスの性格を残し、言葉で表せない落ち着いた雰囲気を醸し出すのに成功している、世界でも数少ない町の一つです。巨大な城が見下ろすこの町は、歴史的な数々の謎に包まれており、一歩歩くごとに古い物語の物言えぬ証人に行き当たります。例えば5弁の薔薇を家紋とする、かつて強大な権力を誇った貴族ロジュンベルク家に関連したもの。この一族は、300年に渡ってクルムロフ城に君臨し、城をプラハの王宮に匹敵するほどの、豪華なルネッサンスの城館に変貌させました。

 

 

ロジュムベルク家の最後の2人の城主、ヴィレーム・ロジュンベルクとペトル・ヴォクの時代に、クルムロフはかつてないほどの文化的繁栄をみせましたが、波乱の運命をたどる伝説の人物が町に住み着いたのも、この時代のことでした。皇帝ルドルフ二世付き錬金術師として知られるエドワード・ケリーは、ヴィレームに仕え、その大作業場を秘密の実験室にして、秘薬を使って様々な物質を金や銀に変える実験を行っていました。今日既に存在しないこの「職業」に従事していた人物が、町に存在していたという事実は、城の大塔外壁ズグラッフィートの不思議なシンボルによっても証明されています。

いにしえの時代が思い起こされる古い地下室に造られたビアホールでは、本物の中世のおもてなしを体験し、最高のチェコ・ビールを味わっていただけます。またルネッサンスの精神は、毎年6月の3日間に行われるフェスティバルでよみがえります。この時期は騎士のトーナメント、剣のパフォーマンス、工芸市の喧騒で町中が賑わい、歴史上の人物や馬に乗った騎士が町を練り歩くパレードで祭りはクライマックスを迎えます。

 

 

この地がロジュムベルク家の治下にあった時代にタイムスリップして、勇壮な騎士、美しい貴族のご婦人に出会ったり、路地で曲芸師やピエロの演技を見たりしてみたい…そんな方にお薦めのフェスティバルが5弁の薔薇祭。ルネッサンス時代に貴方をいざないます。フェスティバルのクライマックスは、大がかりな時代行列。この町の歴史ゆかりの人物が町を練り歩きます。(© Český Krumlov, foto Mgr. Lubor Mrázek)

止まった時間の芸術

クルムロフの、観光メインコースをはずれた路地を進むと、より新しい過去を彷彿させる閑静な場所に行き当たります。そんな場所の一つがフォトアトリエ「セイドル」です。ここでは、一歩足を踏み入れた途端、まだ写真撮影が小さな冒険と考えられていた時代にさかのぼってしまいます。拡大器や、そのほか撮影、現像機器は全てもとの位置に置かれており、まるで写真家は少し前に店を出てしまったけれど、すぐに戻ってくるような、そんな印象を受けます。アトリエのアーカイブには、クルムロフの20世紀初頭の姿をとらえた14万を数えるガラス乾板が保存されています。

エゴン・シーレ・アートセンター
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チェスキー・クルムロフ

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