ブルノのユダヤ文化

Villa Tugendhat
4. 9. 2013

世界遺産で彩られたブルノのユダヤ文化に触れる

モラヴィア地方の主都ブルノはいつの時代も様々な文化の交差点であり、13世紀にはユダヤ人もこの地に集団を形成して住むようになりました。今日においては、当地に現存する唯一のシナゴーグやユダヤ人墓地を訪ね、ブルノのユダヤ人の足跡をたどることができます。ユネスコの世界遺産リストに登録された建築物で、ユダヤ系のトゥーゲントハット夫妻の意向が機縁となって建設された現代建築の至宝もこの地でご覧になれます。

ブルノのユダヤ人は繁栄と衰退を繰り返す波乱万丈の歴史を生きてきました。シナゴーグとユダヤ人墓地を持った中世時代のブルノ旧ユダヤ人街は、15世紀半ばのユダヤ人追放とともに消滅しました。それから300年の歳月を経て当地のユダヤ人共同体の近現代史の扉が開き、二つの世界大戦の狭間の時期、ブルノには12000人ほどのユダヤ人が生活していました。ブルノのユダヤ人の宗教的共同体は、第二次世界大戦の惨禍にも屈せず再建され、現在は南モラヴィア地方全体を管轄下に置いています。

機能主義建築のシナゴーグのシンプルな美しさ 

往時のブルノであれば四つのシナゴーグを見ることができたのですが、現存しているのは一棟だけです。中心市街地からさほど遠くないスコジェプカ通りにある、この市内唯一のシナゴーグをぜひともご見学ください。一見してびっくりなさるかもしれないのが機能主義的な建物の外観です。建設されたのが1940年代なのでモラヴィア・シレジア両地方の全体で見ても年代的に最も新しいシナゴーグになります。この地域において本来の目的に供する唯一のシナゴーグでもあります。本来の用途に使用されていないものが多いのですがブルノには他のユダヤ人施設もあり、市街を散策なさると、ヒベシュ通りにあるユダヤ人ギムナジウム(中等教育学校)やシュテファーニク通りの養老院、それにリヴィエーラ地区のマカビ競技場などもご覧になれます。 

著名なユダヤ人も眠る安息の地

ブルノにも中心市街地から約2.5キロメートル離れたジデニツェ地区にユダヤ人墓地があります。敷地内には質素な石板状の墓石から先祖代々の豪華な墓にいたるまで、多種多様な墓石が9000基ほど立ち並んでおり、墓石と墓石の間を歩みながらユダヤ人墓地をご見学になれます。埋葬者の名前を注意深く読んでみると、政治や文化、科学の各分野で活躍した著名なユダヤ人の名前を見つけることができます。

珠玉の世界遺産が誕生するきっかけになったユダヤ人 

ブルノの至宝を見学することなしにブルノを旅したとはいえないでしょう。ぜひチェルノポルニー通りまで足をお運びになり、建築家ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの手になる、時代を先取りした建築作品をご覧ください。世界的に有名なこのトゥーゲントハット邸は、ユダヤ系のトゥーゲントハット夫妻の依頼を受けて建てられたものです。機能主義建築のこの邸宅が、その後の未来の住居の方向性を定めたとされており、今日では建築学のテキストに欠かせない題材になっています。

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